一般に木材に含まれている水分には、細胞膜の中にある結合水と細胞の内空や細胞間隔などにある自由水とに区分されます。
立木状態や伐採直後の木材には、結合水と自由水を多く含んでおり含水率は非常に高く、この状態の木材を生材といい、その含水率は生材含水率といいます。 徳島すぎの生材の含水率は図-1のとおりです。
辺材部では季節による含水率の差はほとんどなく、心材部ではスギ独特の固体差があり、秋・冬季がやや高く、平均でも160%と他樹種と比較して高くなっています。そのため乾燥が大切な工程となるわけです。
スギの心材は普通淡赤色で赤心と呼ばれていますが、時には灰色から黒褐色を呈するものもあり、これは黒心と呼ばれています。
黒心には遺伝的なものと、暗色枝枯病の菌が原因で発現することが報告されています。
徳島すぎ生材の心材色や地上高による含水率の分布表をみますと、図-2のとおりです。辺材部では、赤心、黒心ともに約170%程度で4~12mまではほぼ一定しています。しかし心材部では黒心が赤心の約2倍に達しています。尚、黒心の地際部の含水率は、辺材・心材ともに200%を越えています。
一般に木材の辺材部では生理機能が高いため、デンプン含有量は大きく変化し、供給・蓄積・消失を繰り返しています。
このデンプン量の変化が、穿孔性害虫の被害に影響を与えます。徳島すぎ生材の辺材部における1年間のデンプン含有量の変化を見ますと、図- 3のとおりです。
最も材内に蓄積されるのは4~7月の期間であり、穿孔性害虫の発生加害期です。一方8~2月の期間では成長にでんぷんを消費したため、年間を通じて最も含有量が少なく、この期間がスギ伐倒の適期となっています。